

おすすめ絵本
「おしいれのぼうけん」
ふるたたるひ・たばたせいいち さく
さくらほいくえんには、こわいものがふたつあります。
ひとつは おしいれで、もう ひとつは、ねずみばあさんです。……
昼寝の時間なのに、ミニカーの取り合いをしたあきらとさとしは、反省のためにみずの先生に押入
れに入れられてしまいます。いつもはすぐに「ごめんなさい」と言うのに、その日のさとしは謝りませ
ん。そしてあきらと一緒に、押入れの中で不思議な体験をすることになるのです。
保育園を舞台にした少年たちの冒険物語です。
悪いことをした子を押し込める怖い場所・押入れ。そこに入れられたあきらとさとし。
はじめは真っ暗闇で怖がっていた二人も、やがて落ち着いてくると、押入れの穴から外を覗いて
みたり、ちょっとした発見で押入れを楽しみ始めます。
一人なら怖かったことが、友達と一緒ならば乗り越えられる、楽しいことに変えられるという瞬間を
見事に捉えています。
そしてそこから更なるハラハラドキドキの冒険談へと物語は展開していきます。
恐ろしいねずみばあさんの魔の手から、一生懸命逃げるあきらとさとし。
とっても怖くて不安になったり弱気になったりするけれど、二人一緒に手をつないで励ましあいな
がら、それを乗り越えていく。友情の物語です。
二人のまっすぐな思いが、時折挟まれる鮮やかな色つきの絵とあいまって、胸に突き刺さります。
また、みずの先生の描写が、とてもリアルで、大人としては共感できるところです。
子供に対して、いろいろ大人も手をこまねいて頭を抱えてしまうことがあるけれど、案外子供はそ
れをわかっていて、大人のあずかり知らぬところで、思いもかけない成長を見せてくれるものだっ
たりするのです。そんな時はこんな風に、自分もみずの先生のように、子供と同じ目線で、素直に
謝れる大人でありたいと思うような、実にリアルな描写です。簡易な文章で書かれていますが、大
人にも充分読み応えのある物語になっています。
この絵本は、子供に、物事に立ち向かう勇気、一人では恐ろしいことも二人ならば向き合えること
、そして恐怖を乗り越え楽しさに変えることができることを教えてくれます。
身近な押入れから広がる不思議な世界は子供の想像力を広げ、楽しませながらも、しっかりと生
きていく力を与えてくれる絵本だと思います。
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