

おすすめ絵本
「とべバッタ」
田島征三・作
ちいさな しげみの なかに、バッタが いっぴき かくれすんでいた。…
小さなバッタが天敵に隠れてひっそりと暮らしていたけれど、そんな生活がすっかり嫌になり、思い
切って石のてっぺんで日向ぼっこをしてみた。
するとやはり食べられそうになるが…という物語。
物語のはじめは、バッタの天敵であるガマガエルやカマキリやクモの描写がとてもグロテスクで、
バッタが恐ろしく感じるさまが実にリアルに伝わります。
草むらが枯れ草のように渋い色合いで、しかもバッタの体を隠す草は小さく敵達はあまりに大きく
、虫の足を口から出したカエルなぞ、とてもおどろおどろしい描写です。
しかし、この閉塞感に嫌気を感じ、一歩外に出てからのバッタの描写は凄い。
一瞬の静寂の後、やはり恐ろしくリアルで勢いのある大きくグロテスクな蛇、そして巨大なカマキリ
の登場に、小さなバッタ。
しかし次の瞬間、バッタの姿は大きくなり、勢いよくカマキリにぶち当たり、負けません。
カマキリだけではなく、とてもかないそうにない鳥にだって、負けません。
そして勢いづいたと思ったのに、バッタはやがて力がなくなり落下してしまう絶体絶命。
でも、自分の羽の存在に気づき、危機を脱します。
不恰好に飛ぶバッタを、トンボやチョウはばかにしますが、気にしません。
そして黄色い光の中も、赤い大地の上も越え、遠く遠く飛んでいくのです。
この勇敢なバッタの物語は、きっと失敗を怯えて縮こまらずに、勇気を出してまずはやってみるこ
と、やってみたら、きっと適わないと思ったことも、できるだろうこと。
壁にぶち当たったとしても、必死になって自分でもがいてみれば、どこかに羽のように、解決でき
る方法が自分の中から引き出されるかもしれない。
周りがどんなに馬鹿にしても、自分の力を信じて飛び続ければ、いくら不恰好であったとしても、き
っときっと誰よりもどこまでも遠くまで飛び続けられるのだということ。
そんなやってみる勇気、生きていく勇気と、自分を、自分の可能性を信じる強さを子供達に教えて
くれることでしょう。
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