運動が嫌いな子ども

母の話によると、幼いころにハイハイを始めるのも、立って歩くのも、他の子どもより遅かったそうだ。
幼稚園でお遊戯をしたりかけっこをするが、全く楽しいと思わなかった。

教室で折り紙やお絵描き、掃除片付けの時間の方が自分のペースで進められて気が楽だった。
そんな幼稚園時代の運動会の様子をおさめたビデオテープが出てきたので見たら、すべての競技でビリだった。

今思えば、よーいドンで一気に走り出すときに、押されて転んでしまうんじゃないかと怖くて身体を小さくし、スタートラインに並ぶみんなよりも一歩後ろにいた記憶がある。

極めつけは、幼稚園の校庭にあった滑り台が怖くて一度も滑ったことがなかった。
卒園式のときに、もう幼稚園に来ることがないと思うと急に淋しくなって、最後ぐらい滑り台を滑ろうと突然思い立ち、上に登った。

そのとき脚を滑らせて頭から滑り落ちてしまい大泣きした苦い思い出。
そのせいで、やっぱり幼稚園は楽しくなかったと暗い気持ちのまま園を後にしてしまった。
それからというもの、運動がもっと嫌いになってしまった。

部活動のこと

私は中学生時代、卓球部に所属していました。卓球部に入部した理由は、あまり運動が得意ではないけれど、運動部に入部したく、卓球なら気軽に始められるだろうと思ったからです。私の学年では、私を含め10人入部しました。

新入部員に待っていたのは、玉拾いとトレーニングでした。トレーニングのメニューは、約1キロ弱の外周を3周、腕立て、腹筋などの筋トレ、素振りでした。私はマラソンが大嫌いなので、外周は苦痛でした。このトレーニングは、2年生に進級するまで毎日続きました。

夏休み頃から、私たち1年生も卓球台を使って練習させてもらえるようになりました。また、先輩方と午前と午後で練習時間を別に設け、1年生だけで練習する日がありました。先輩方に気を使わず、卓球台を使って練習が出来るのは、とても楽しく、嬉しかったのを覚えています。

この頃から、1年生の間でも実力差が生まれるようになりました。私は比較的上手な方で、他校との合同練習会等にも、1年生を代表して参加することもありました。いつも代表として選ばれるのは、私の他にもう1人いました。彼女とはクラスは違うのですが、部活中は一緒に行動する機会も多く、とても仲良くなりました。彼女は私の良いライバルで、お互いに切磋琢磨しました。

2年生に進級し、後輩が出来、先輩方が引退し、私が次期主将を任されました。しかし、この頃から、色々と問題が起き始めたのです。まず、部員の1人が、ある男子生徒に襲われかけるという事件が起きました。どうやら、メールでそのような内容をほのめかしていたようです。先生の判断は、その部員も男子生徒も両方悪いということでした。この事件で、卓球部全員が学年主任の先生に呼び出されました。その時先生に、お前の代になってから評判が悪い、と言われたのは、とてもショックでした。

また進級を機に、部活動よりも遊びに専念したいと、部活に顔を出さなくなる部員も数人いました。その中には1年生の頃、私とともに頑張っていた子も入っていました。3年生の頃になると彼女は、あどけなかった容姿も派手に変わり、まったく部活に来なくなり、私と話すこともなくなりました。

私が引退する頃には、部員の心はバラバラで、引退後はほとんど関わることはありませんでした。もし私がもっとみんなのことをしっかりまとめられていたら、みんな部活を良い思い出に出来たのかな、と思います。そんな思いから、高校では部活に入りませんでした。しかし、年月が経ち、成人式でみんなと再会した時、何事もなかったように、普通に接することが出来ました。昔話をして、笑ったりも出来ました。当時はとても辛い思いをしたけれど、卓球部に入部して良かったと思うことが出来るようになりました。あの時、途中で投げ出さなくて良かったと思います。

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