職場体験
中学生のときに総合学習という分野がスタートした。
その学習の中で、校外学習の一環で職場体験に行った。
地元にある美容室にお邪魔した。
派手なオーナーはとても二日間可愛がってくださって、一生懸命にお手伝いできることをした。
それから十年以上経って、バイト先に職場体験で中学生が来た。
教える係になっていた私は、自分が大人になったことを実感した。
ただ、そのとき本社からも新入社員が研修で来ていたため、通常の店舗の倍の人数がいた。
でも、新入社員は研修がつまらないのか、程よくサボることを覚えてしまった。
こっそりと休憩を挟んでいるのを何度も目撃した。
一方、そんな大卒の新入社員の倍以上働いてくれたのが中学生達だった。
ここまでやってもらっていいのかというぐらい、何でも手伝ってくれた。
期間中に先生や保護者の方が心配そうに来てくださったが、とても助かっていますとお伝えすると生徒達はとても嬉しそうにした。
働くことが楽しいと言って期間が終了したが、さらにあれから何年か経ち、あのときの中学生も働きに出る頃だ。
あのときのこと思い出して頑張ってほしい。
確か、税理士事務所で働きたいと言っていたが、勉強に関しては話が聞けなかった。
しかし聡明な子だったから、なんとかなりそうな気がしている。
税理士の業界もなかなか厳しいようで、営業力と明確なアピールポイント、そして契約すると得られるメリットが、他の事務所と違いを訴求出来なければ埋もれてしまうらしい。
一人でいたかった研修の日々
私はあまり集団が得意ではありません。
女子校育ちなのでよく意外と言われますが、女子校育ちにだって群れるのが苦手な人はいます。
よく言えば個人主義、悪く言えば人付き合いめんどくさがり屋といったところでしょうか。
そんな私が新入社員の頃、一クラス30人ほどで半年間研修を受ける職種に配属されてしまいました。
半年間研修しているだけでお給料がもらえるのはおいしい職場だったのですが、私を悩ませたのはクラス制度です。
なぜ会社に入ってまでクラスがあるんだと。
別にいじめを受けたり何かがあって集団が苦手なわけではないんです。
ただなんとなく一人でいたいんです。
心許せる友達はそんなに多くなくていいと思う主義なのです。
そんな中、研修は始まりました。
みんな親切でお互いに教えあい高めあい、いい友人になりました。
けれど私は絶対に一人で過ごす時間がありました。
それはお昼ご飯を食べた後のコーヒータイムです。
その時間だけはどうしても一人でぼんやりしないと、午後の仕事のスイッチが入りませんでした。
ただ何も考えず窓際に座ってコーヒーを飲み、半分うつらうつらしている幸せの時間でした。
ある日、そんな私に声をかけてきた同期の男の子がいました。
なんか一人でコーヒー飲んでるのってかっこいいよね、と。
毎日見ていたよ、と。
かなり驚きました。
ただぼんやりしているだけで良く見えていたとは驚きです。
そして私の一人の時間まで誰かに見られていたと思うと、ますます集団でいることに対して嫌気がさしてしまいました。
次の日から今度は会社の外の広場でぼんやりすることにしました。
しかし本当はあの窓際でのんびりしたかったのです。
早く研修が終わらないかなと日々思う毎日でした。